火星探検-Mission to Mars [SF映画]

  映画『ミッション・トゥ・マーズ』(Mission to Mars、2000年 米国)は、人類初の火星探査旅行をテーマーにしたSF作品です。

NASAが全面協力したというだけあって、『2001年-宇宙の旅』に劣らないリアリティで観るものを引きずり込みます。
また、さすがにブライアン・デ・パルマ監督が手がけた作品だけあって、オープニングからエンディングまで見るものをグイグイ引きずり込みます。
でも、どうやら興行的にはあまりヒットしなかったようで、映画関係サイトなどでもあまり大きく取り扱われていませんね...


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ミッション・トゥ・マーズ(Mission to Mars)製作スタッフ

  監督   ブライアン・デ・パルマ
  製作総指揮 サム・マーサー
  製作  トム・ジェイコブソン
  脚本 グラハム・ヨスト
         ジム・トーマス
         ジョン・トーマス
  出演者  ゲイリー・シニーズ
               ティム・ロビンス
  音楽 エンニオ・モリコーネ
  撮影 ピーター・シャシスキー
    配給    ブエナビスタ
    公開   2000年3月10日(米国)


 ストリー

西暦2020年6月、テキサス州で第一次火星探査計画のクルーたちの送別会が行われていた。
クルーに選ばれたのはルークを含む4人の科学者達。本来ならジム(ゲイリー・シニーズ)もその中に選ばれていた筈だった。だがジムは、その直前に、妻で同僚でもあり、そしてもっとも火星に行く事を熱望していたマギー(キム・デラニー)を病気で失うという出来事に見舞われて意欲を失い、自らクルー就任を辞退して地球周回軌道上の宇宙ステーションでルークたちのバックアップを務める事になった。ジムやマギーとも親しかったルーク(ドン・チードル)はその事を気にかけつつも火星に向かった。


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2030年、米国は人類初の火星有人調査を行ったが...

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13ヶ月後、火星で地質調査を続けていたルーク達は、シドニア地区の岩山の頂上付近に巨大なピラミッド状の物体を発見した。氷ではないかと推察した彼らは現地に赴いて調査を開始、レーダー波を照射したが、その途端に巨大な竜巻が発生した。竜巻は意思を持っている様な動きでクルーたちに襲い掛かり、ルーク以外の3人は死亡、ルークも宇宙ステーションに最後の通信を送った後生死不明となった。

巨大な砂竜巻に吸い込まれて火星探検隊員たちは死んでしまった


この事態に対し、探査計画チーフのレイは第二次火星探査計画として予定されていた宇宙船を救出隊(マーズ・リカバリー)として送る事を決定、ウッディ(ティム・ロビンス)が隊長に、ウッディの妻でもあるテリー(コニー・ニールセン)と、そして電子技術の専門家であるフィル(ジェリー・オコンネル)がクルーに決定、さらにウッディの要望によりジムが副操縦士に決定した。

火星探検計画のチーフ、レイは救出隊(マーズ・リカバリー)を送ることを決定
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ジム(左側)が副操縦士に選ばれた
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  救出計画スタート後約180日かかってマーズ・リカバリー号は火星軌道上に到着したが、少隕石群との接触が原因で燃料事故が発生して宇宙船は機能を停止してしまった。彼らは火星軌道上を周回しているリモ(補給モジュール)で降下する事を試みたが、その過程でウッディは死んでしまった。
ジムたちは3人で火星に着陸し、そこで軽度の酸素欠乏症に陥りながらもなんとか生存していたルークと再会を果たす。ルークは竜巻の遭遇以後も自力で調査を続行し、岩山に突出していた物体が、実は巨大な顔型の構造物の一部であり、今は堆積していた砂が消え去って顔全体を露出している事、さらに、その構造物から発信している謎の信号がDNAのモデルである事を突き止めていた。ジムはそのDNAモデルから染色体の情報の一部が欠落している事に着目し、それがテストである事に気がついた。足りない情報を追加してその信号を構造物に発信した彼らは、構造物の一部に出入り口が開いた事を知った。帰還のために宇宙船の修理を担当するフィルを残して、3人はその出入り口から構造物に侵入し、そこである事態に遭遇する… (以上、Wikipediaより)


  救出隊のリーダー、ウッディ
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ジムとフィル
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宇宙船の中でダンスを…
(実際の火星調査船内はこれほど広くないようです)
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ようやく火星軌道に到着したものの…
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予期せぬ事故でクルーは宇宙船をすてることに
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 命綱で繋がって火星表面へ到達する方法を探す…
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大きな犠牲を払った末に火星に到着できたが…
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  生き残りの探検隊員ははたしているのか?
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マーズカーに乗って謎の人面岩に近づく
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    謎の人面岩の周囲に起こる砂嵐
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作品の背景と火星の人面岩


と、ストリーはこんなものですが、この作品の中で重要な位置を占める火星の人面岩、英語ではFace on Mars(またはThe Face、Cydonia Face)と呼ばれる、お面の形状をした巨大な岩に関してですが、火星の人面岩というのは実際に存在しており、1976年にNASAのバイキング1号が火星表面のサイドニア(シドニア)地域を撮影したものの中に長さ3km、幅1.5kmという巨大な人の顔のような岩が写っているのが発見され、NASAは「光と影の具合で、岩山が偶然人の顔のように見えるだけ」と発表しましたが、NASAの見解に納得しない者たちは独自に画像の分析をして「人面岩には眼球や歯のような物がある」、「涙を流した跡がある」、「人面岩の付近にはピラミッドのような建造物がある」、「口が動き、何らかの言葉を発している」等といった見解を発表し、当時、世界中でかなりの話題になったそうです(ピラミッドのように見える地形があるのは事実)。


バイキング1号が撮影した人面岩の写真(左がオリジナル、右がフィルタリング処理した画像)
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その結果、「人面岩は古代火星人の遺跡だ」、「地球人が火星に建造した人工物だ」等、憶測が憶測を呼び、SFや映画、ビデオゲームなどフィクションの題材となり、テレビ番組や音楽の分野でも大きく取り上げられました。
しかし、NASAは1996年に打ち上げられたマーズ・グローバル・サーベイヤーのミッションで、新たに人面岩の写真が高解像度のカメラで撮影され、その結果、人面岩は自然物であるというNASAの見解が確認されたといういわくつきの興味深いエピソードがあります。

マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した人面岩の写真。上の写真とは向きが逆。
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2006年には欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機マーズ・エクスプレスが撮影した人面岩周辺の立体的な画像

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2001年-宇宙の旅との比較

 どういうわけか、『ミッション・トゥ・マーズ』を観ると、『2001年 -宇宙の旅(A Space Odyssey)』と比較したくなります。
アーサーC.クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督で制作された『2001年…』は、SFファンであれば誰でもが認める傑作ですが、この映画は後編の『2010年』(原題:2010: The Year We Make Contact)があり、目的地こそ木星、と違いますが、やはり『ミッション…』と同様な救出劇となっていて、同じように超高等生命とのコンタクトが描かれています。


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ただし、『ミッション…』では映画E.T.系の宇宙人(実際は超人類?)が出てくるのに対して、『2001年~2010年』ではそんなヘンテコな宇宙人は出てきません。
しかし、『ミッション…』と同じように”永遠の生命”というテーマが取り上げられています、というか、順序は逆で、『ミッション…』が『2001年…』と同様に永遠の生命テーマを含んだ作品といった方が正確ですね。
この意味からも、『2001年-宇宙の旅』がその後に続いたSF作品に多大な影響をあたえたことがよく分かりますね。



作品の核心部分
ネタバレありますので読みたくない方は飛ばしてください)

『ミッション・トゥ・マーズ』でもその人面岩があつかわれており、その下に巨大な構造物があり、そこに古代に地球に住んでいた超人類の子孫がいて、彼らの先祖(元祖地球人?)は古代に巨大隕石が地球に衝突した時に(巨大隕石は恐竜を滅ぼしただけではなかったのです...)すべて宇宙船で宇宙のあらゆる方向をめざして避難したのですが、そのうちの一つの宇宙船が火星にとどまり、新人類(私たちのことです)が進化していつか火星にやってくる日を待っていたのです。

それで、高等知的生命であるということを証明するためには、人面岩から発信されるシグナル(問いかけ)に正確に回答しなければならない。そうしないと低級知能生物とみなされて砂の竜巻で一掃されてしまうのです。
いわば超人類の仲間への入門テストですね。
ジムの冴えた頭脳によって見事に難問を解いた彼らを待っていたのは、人面岩の下部にある巨大構造物へと続く巨大ドアでした。中に入った彼らは超人類からすべての経緯を教えてもらったが、そのあとで超人類から宇宙の旅への誘いを受けます。 ルークとテリーは躊躇しますが、最愛の妻を失っていたゲリーはこれ以上何も失うものはないことと、宇宙の謎、生命の謎を解明できるかも分からないと考えて、超人類の誘いを受けて彼らとともに宇宙船に乗って火星からものすごいスピードで宇宙のかなたをめざして飛び立ちます。







Mission To Marsのサウンドトラック- 「海の上のピアニスト」の
エンニオ・モリコーネによる瞑想的な曲です。是非聴いてみてください





ゲイリー・シニーズは私の好きな俳優の一人で、スペースドラマでは『アポロ13』にも出演して好演していますが、最近はCSI:ニューヨークでも活躍しています。


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CSI:ニューヨークでも持ち前(?)の渋い役をこなしています。

最近はゲイリーのような渋い俳優は少なくなったと感じるのはLobyだけでしょうか…


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こちらはテリー役のコニー・ニールセン。

なんと『グラディエーター』に出演していました[exclamation]

あのルッシラ皇女が彼女だったとは… メーキャップってかなりイメージが変わるものですね[がく~(落胆した顔)][たらーっ(汗)]

ちなみに『ミッション・トゥ・マーズ』と『グラディエーター』は同じく2000年に公開されています。


『ミッション…』でがテリー役のコニー
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  『グラデイエーター』でのコニー・ニールセン
  確かにこうして見ると同じ女優さんだと分かりますが、
  実際に映画を見るとよほどよく俳優&女優たちを知らないと分かりませんね…
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 NASAの火星有人調査想像図

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終わりに… 地球と火星の大きさの比較です。

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ねじまき鳥

訪問ありがとう。

by ねじまき鳥 (2011-04-18 21:31) 

春分

ネタバレ部分は読んでませんが、火星というと、隣に火星人が
住んでしまうアメリカのドラマ以外では、まず「スター・レッド」を
思い出します。萩尾望都の私は、傑作と思います。
そう、萩尾望都は初期の作品にもユニコーンの出てくるいい話
を火星周りで描いています。もし、そちらもご興味があればと。
by 春分 (2011-06-04 12:13) 

Loby-M

≫ねじまき鳥さん、ご訪問&nice!ありがとうございます。

≫春分さん、「スタートレッド」は読んだことありませんが、面白そうですね。機会があれば萩望都作品を是非読んで見たいです。ありがとうございました。

≫あいから5drrさん、ご訪問&nice!ありがとうございます。
by Loby-M (2011-06-06 08:23) 

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