重力波の発見 [宇宙のロマン]
この星は通称「プラネット・ナイン」。カリフォルニア工科大学によると、地球の10倍の質量を持ち、太陽から海王星の平均距離(約45億キロ)より20倍遠く離れた軌道を1万~2万年かけて周回しているそうです。なお、この天体は木星や土星などと同じガス惑星とみられるとか。
研究者が実際にこの惑星を観測したわけではないけど、他の研究結果から第9の惑星が存在するとの結論を導き出した。
研究者によると、海王星の軌道の外側に広がる「カイパーベルト」と呼ばれる領域に、軌道が特定の方向にとがっている複数の天体があり、数学的なモデルやコンピューターを駆使したシミュレーションから、こうした複数の天体の軌道の形成に影響を及ぼす重力を持つ惑星が存在するとの結論に至ったのだそうです。(参照記事)
宇宙論について考える-宇宙に終焉はあるのか? (4) [宇宙のロマン]
膨張し続ける宇宙ー 宇宙に終焉はあるのか: 宇宙の将来
2012年の5月に書き始めた、このLobyの宇宙論考察、いよいよ最終回です。
だらだらととりとめのないような感じで書いてきましたが、また新しい発見や理論が発表されて、この考察を書き直すことになるハメになる前に終えてしまおうと思います。また、最初にも書きましたが、私は天文学&天文物理学にはまるっきりのシロウトですので、言葉が足りないところ、もしくは勘違いしているところもあるかも知れないことを再度前もって断っておきます。
宇宙はなぜ始まったのか?
さて、これまで宇宙論についていろいろな角度から見てきましたが、現在の主流となっている「ビッグバン宇宙論」に関しては、現時点では宇宙の起源を説明するのに最適(もっとも説明しやすい)の理論ですが、だからといって、同理論は宇宙のすべてを解明した訳ではありません。超高エネルギー領域の物理学(量子重力理論や超弦理論)はまだ明らかになっておらず、宇宙の始まりについては実際のとことはほとんど分かってないというのが実情といえるでしょう。
ジェームズ・ウエッブ望遠鏡 [宇宙のロマン]
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として、2018年以降の打ち上げを目指して開発が進められています。 JWSTの名称は、NASAの二代目長官ジェイムズ・E・ウェッブ にちなんで命名されたもの。ウェッブは1961年から1968年にかけてNASA長官を務め、アポロ計画の基礎を築くなど、アメリカの宇宙開発を主導する重要な役割を果たしました。JWSTは「次世代宇宙望遠鏡」 (NGST / Next Generation Space Telescope) と呼ばれていましたが、2002年にJWSTと改名さました。
宇宙論について考える-宇宙に終焉はあるのか? (3) [宇宙のロマン]
44光年の距離にあるスーパーアース [宇宙のロマン]
100年宇宙船-恒星間旅行のすべて [宇宙のロマン]
アポロ11号で世界で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング氏が8月25日に亡くなりました。
“これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。
(That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.)”
と月面でアームストロング宇宙飛行士が語った言葉はあまりにも有名です。(アポロ11号についてはこちらに特別記事があります)
さて、人類が月に到着したのは1969年7月20日。
それからすでに43年経ったわけですが、よく考えれば、あの当時予想されたほど宇宙開発は進んでいません。
ちなみに、LobyがSF映画の傑作と考える『2001年宇宙の旅』では、題名通り2001年には人類がすでに惑星間航行(木星まで)をやることになっていますが、2001年どころか、2010年(続編の『2010年宇宙の旅』ではソ連が木星まで宇宙船を送り込む話になっている)をとっくに過ぎた2012年になっても、人類は月から先に一歩も足を伸ばしていません。
もっともっと宇宙開発を進めて欲しいと思う気持ちと、偉大な足跡を宇宙開発史に残したニール・アームストロング氏の功績に思いを馳せつつ、今日は“人類の夢”である、恒星間旅行について話したいと思います。
このところ火星探査の話題(ニュース)でもりあがっていますが、NASAはかなり以前から火星へ“片道切符”の宇宙船を送り込む計画をもっていたそうです。この計画については、当ブログでも以前取り上げました(記事を見る)が、この「火星植民地パイオニア計画」には、NASAがやはり20年間ほど構想してきた「100年宇宙船-100-Year Starship」という計画が密接に関係しています。
そこで今日は、DARPA(国防高等研究計画局)が2011年に開催した『100-Year Starship Study』シンポジウムで様々なアイデアと議論がされた、惑星間宇宙船および恒星間宇宙船の話題も含め話しを展開したいと思います。
そもそも、シロウトが聞いたら無謀とも思える“片道切符”の火星旅行というのは、地球にもっとも近づいた時でさえ5600万キロもの距離がある火星へ人間を送り込むのには、膨大な量の食料・水、燃料などが必要となるため、とてつもなく巨大なロケット、もしくは5~6隻の宇宙船が必要となるからです。そしてこのようなビッグ計画は資金面でも技術面でもかなり困難。そこから片道切符”旅行という奇抜なアイデアが出たもの。つまりNASAの“苦肉の策”というわけです。
さて、太陽系内の惑星であれ、太陽系外の恒星であれ、宇宙空間を長い間を航行するためには、克服すべきさまざまな難関があります。
太陽系に最も近い恒星(ケンタウルス座アルファ星)でさえ4光年あまり離れていおり、もっとも地球に似た系外惑星と言われるグリーズ581c(Glise-581c)にいたっては20光年以上もの距離があるのです。
恒星間旅行
さて、今回は目標を太陽系外惑星、仮に上に挙げたグリーズ581cに定めるとして、どのようなロケット・宇宙船が必要なのか、またどのような問題をクリアしなければならないのかについて見てみたいと思います。
まず第一に、グリーズ581cまでは分かりやすい単位に変換すると190兆Kmの距離があり、現在考え得るもっとも速い宇宙船の速度(光速の10分の1)で航行したとしても約200年もかかるのです。これはあくまでも直線距離をベースとしての計算で、実際は太陽系内外の天体の重力などの影響があることから、いかなる推進装置をもつ宇宙船といえど直線には航行できない(相対性理論)ため、ヘタをすると(地球時間にして)300年とか400年とかかかるかもしれないのです。
推進方式
航行時間が50年も100年もかかる宇宙旅行の場合、現在主流の化学燃料エンジンは水力の弱さ、それと膨大な重量を積載しなければならないというハンデから、最初から除外します。
まず最初に実現の可能性が高い推進装置として挙げられるのが原子力エンジン。
「はやぶさ」で有名になったイオンエンジンも原子炉と組み合わせて使用すれば、より効率的になりますが、ここではより大きい推力と高い噴射速度(比推力)の両方を得られる原子力エンジンを見てみます。
原子力熱核ロケット
熱核ロケット (Nuclear thermal rocket) は、核分裂炉又は核融合炉の高熱により直接推進剤(通常は水素)を加熱膨張させ、ノズルから噴出して推進する方式で、米国ではオリオン計画で検討がされました。オリオンは、1年以内に地球から冥王星に到達し、戻ってくることができる能力をもちます。
オリオン計画では熱核ロケットエンジンの採用が検討された
原子力プラズマロケット
一方、英国の「ダイダロス計画」(Project Daedalus)では、レーザー核融合ロケットエンジンを採用。電子ビームによる重水素/ヘリウム3のレーザー核融合を使い、1秒間に250個の燃料ペレットを核融合連続爆発させ、そこから生じたプラズマを磁場によるノズルにより制御する推進法が考えられました。
ダイダロス号は地球軌道に建設され、全長は195メートル、54,000トンの重量を持ち、そのうち燃料が50,000トン、実質的なペイロードは450トン。2段式の宇宙船として計画されていました。第1段ロケットは2.年間動作し、ダイダロス宇宙船を光速の7.1%まで加速した後、放棄され、第2段ロケットは1.76年間で宇宙船を光速の12%まで加速して停止、その後は慣性飛行を行います。
高さ195メートル、重量5万トンを超すダイダロス号
バサード・ラムジェット
宇宙空間中に散在している水素分子を主とする星間物質を強力な磁場によってかき集めて燃料(推進剤)にする、というのが「バサード・ラムジェット」(Bussard ramjet、恒星間ラムジェットとも)です。ラムジェットエンジンが、自身の、空気との相対速度自体によって作動することにちなんでつけられた名前で、理論上はバサード・ラムジェットが作動させられる速度までの加速に必要な燃料さえあれば、後はいくらでも加速できるという事になります。磁場を調節することで水素分子だけをラムスクープ(収集用の磁場を発生させる枠)に捉え、質量の大きな微小天体は素通りさせてしまう巨大なザルのようなものが想定されていて、宇宙船本体はザルの中心にぶら下がる形となります。
宇宙空間にある水素を燃料とするバサード・ラムジェット
このシステムの問題は星間物質を集めるための磁場(ラムスクープ)の直径が惑星なみの大きさになる事、ラムスクープを形成するためのエネルギー、そして磁場が船内の機器や人体にあたえる影響の問題があります。また、星間水素密度が予想より遥かに薄く、1970年代にはバサード・ラムジェットは現実的には不可能であるとされています。
反物質ロケットエンジン
現在、恒星間航行を可能にする宇宙船の動力となる高エネルギー源として、もっとも有望視されているのは反物質である。加速器によって生成した反粒子を十分に冷却した状態で反応させる事により、安定した反物質(反水素)が生成できる事は確認されており、これを安全に保存できるなら、将来的なエネルギー源(正しくはエネルギーを保有する方法)として利用できる可能性がある。ただし、現代の技術水準では1gの反物質を製造するには巨大加速器を100億年にわたって反物質の製造に専念させる必要がある。
反物質ロケットのイラスト
ダイソン球と呼ばれる、恒星を巨大な人工構造物で覆って、恒星から発生するエネルギーを利用する超巨大な構造物のアイデアがあるが、これを利用して恒星の発するエネルギーをすべて反物質製造に費やせるなら、数年~数十年程度で恒星間航行に必要な動力が得られると云う計算がある。
ダイソン球の想像図
これは実現の可能性はないとは言えないが、途方もないアイデアであり、そこまで大掛かりな装置で無くとも、公転軌道上に直径750m程の大きな粒子加速器付きの人工惑星(形状としては、太陽に向いた巨大アサガオのような物)を200個程度設置すれば、約20年ほどで恒星間航行が可能になるのに十分な反物質20トンが蓄えられるといいます。
現在の技術水準では、直径750mの人工惑星200個を太陽の公転軌道に乗せることも非常に難しいかもしれませんが、月面のマスドライバーや惑星軌道上の工場衛星が現実的な未来の話として挙がっている以上、まんざら途方もないSFの話とも決めつけられません。
亜光速旅行の問題点
さて、これまでに見てきた原子力ロケットエンジンは、すべて亜光速に達するものですが、太陽系外の惑星などに到着するためには超長期にわたる航行期間が必要であり、そのためには快適な居住スペースが不可欠です。これは無重力、もしくは弱い重力の環境に人間が長時間住むと生体機能に支障をきたすためです。そのほかにも寿命の問題や精神面の問題もあります。
恒星間宇宙船には有人・無人(ロボット宇宙船)の2種類があり、どちらのタイプを選択するかによって恒星間宇宙船に大きな違いをもたらしますが、ロボット宇宙船の場合なら致命的な故障となる機械的なトラブルも、十分な技術力を持つクルーがいる有人恒星船の場合なら、トラブルをクリアできるという大きなメリットがあります。
しかし、ロボット宇宙船では、型通りの調査活動や物質輸送には十分でもそれ以外の用途には意味をなさないと思われるため、ここでは主に有人恒星間宇宙船をメーンにとりあげ、どのような問題が出てくるのかを見てみます。
恒星間旅行には快適な居住スペースをもつ宇宙船が必要となる
旅行期間が100年以上かかると予想される恒星間旅行で、人間が乗り越えなければならないもっとも大きな問題は“時間”です。
たとえば、前にもあげた「グリーズ581d」惑星までは最低200年かかるため、そこに人間を送り込むために考えられるオプションを参考まで挙げてみます。
冷凍方式
SFなどでよく見られる方法で、現在の科学で比較的実現性が高いと考えられます。文字通り、人間を冷凍して宇宙船に積み込み航行する方法で、“冬眠旅行”とも呼ばれます。
凍結したまま旅行するので、歳もとらず、病気などにもかかる問題もないため、もっとも理想的なように思えますが、(倫理的な問題はさておいて)安全の確保に問題があるのです。
「2001年宇宙の旅」でも冬眠カプセルが使われた
それは、たとえ冷凍したとしても、宇宙空間の素粒子や放射線はひっきりなしに宇宙船を貫通して行き、衝突の際にはエネルギーを発生させる。この過程で凍結された人体は部分解凍と再凍結を繰り返し、また衝突した時のエネルギーは有機分子を変性させる可能性もあるため、人体を構成する分子構造が破壊される危険性がある。生命活動を行っている状態なら、少々の破壊は自己治癒するが、凍結されている場合は破壊される一方である。
このため、できるだけ短い期間で目的地に到着させて被曝量を減らすか、何らかのシールドで凍結人体を確実に守る必要があるが、前者は化学ロケットでは速度に問題があるし、後者はより技術的な進歩を待たなければならない。
遺伝子運搬方式
『断絶への航海』(ジェイムズ・P・ホーガン)、『遥かなる地球の歌』(アーサー・C・クラーク)、『ビブリオテーク・リヴ』(佐藤明機)等で言及されており、方法論的には2種類が想定される。実働する生身の人間がいない点が冷凍と共通する。
遺伝子データのみを搬送し必要時にのみ有機体として再生する方法。
凍結精子及び卵もしくは凍結受精卵を搬送し、想定される目的地到着期間を前倒しで解凍受精される方法。
しかし、冬眠船と同様の倫理上の問題、宇宙船外的素粒子による被爆問題以上に、有機化技術、人工子宮の開発、凍結解除(受精)後もしくは有機化再生後に使用する教育用AIの開発もしくは、遺伝子データを採取した人物のオリジナルの記憶を複製する技術、宇宙船のアクシデントを自動対処する修復システムの構築など技術的に克服しなければならない問題が多い。
小松左京の『すぺるむ・さぴえんすの冒険』に
世代交代方式
凍結なら個体単位で「いつかは他の恒星系へ」となる訳だが、これとは別のアプローチとして、種族として低速恒星船に乗り込み、世代交代を繰り返しながら他の恒星系に到達する方法がある。この方法は世代宇宙船とも呼ばれる。
SF作品としては、ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の孤児』(発表は1941年)に登場している。またアイザック・アシモフの『ネメシス』(1989年)には「宇宙コロニーとして既に機能していた宇宙国家そのものを他恒星系に飛ばす」というアイデアが登場しているが、こちらは超光速航法で1世代未満にて架空の太陽系近隣恒星系に到達しているため、世代宇宙船ではない。
これは航行期間にもよるが、到達時に目的を果たせるクルーが存在している必要性から、近親交配に陥らずに種族を維持できるのに十分な人数や、それらを教育出来る機能、更にはそれらの人員が生活できるだけの食糧や水・酸素を生産・消費可能なリサイクルを続けるために、循環する生物的な環境が必須となる。また居住スペースは人体活動を維持できる十分な重力がある必要がある。これらの必然性から、遠心力で擬似的な重力を作るためにも、ちょっとした宇宙コロニー並の居住スペースや食糧生産能力(いわゆる農業を行う機能)が必要になる。
また、これらの必然性により人員の数もスペースコロニー並みになる場合には、完全に孤立した社会の規模も小規模な都市国家並みとなることも予測される。この場合は、独力で航行する以上は政治や経済も独自の形態を維持する必要があると考えることができる。前出のハインラインの小説では、遥かな昔に船内で大規模な暴動が発生、船の運航に必要な人員を教育できなくなり、文明は技術を含め急激に後退、中世さながらの後退した社会で、独自の文化・価値観が迷信となって混乱を招いている様が描写されている。アシモフの作品では、強烈なカリスマ性を持つ指導者が人心を束ねる様子が描かれており、世代宇宙船では無いものの、開拓に十分な人員をもっていることから、到着後にすぐさま恒星系宇宙域の開発を行っている。
これは非常に巨大な居住スペースを持つ宇宙船を必要とするため、それを慣性に抗って駆動する強力なエンジンも必要となり、更にはそのエンジンを働かせるための十分な動力源を必要とする。こうなると、大量の燃料を抱えて飛ぶために更に巨大な推力を必要とし、ひたすら巨大化の一途を辿った化学ロケットのようなエンジンでは、もはや進む事すら不可能に近くなるため、原子力ロケットや核融合ロケット・電気ロケットなどの、たとえ小さい反発力でも、継続的に高速の推進剤を噴出する事で、前進が可能なロケットエンジンの登場が不可欠になる。
もし人工重力を船内に発生させる「人工重力場発生装置」なるものが発明されたなら、居住スペースはもっとコンパクトに出来るだろうが、そのような装置が作れるのであれば、むしろそれは「上も下も無い宇宙空間で、無限に一定方向に落下し続ける」(言い替えるなら「亜光速にまで加速する」)事が可能であろうから、推進エンジンに利用されると思われる。そのアイディアはジェイムズ・P・ホーガンの巨人たちの星シリーズで採用されている。
火星地質探査機「インサイト」は2016年に打上げ予定 [宇宙のロマン]
このスローガンのもと、NASA(米国航空宇宙局)は、2016年に火星内部を調査するドリルロボット探査機「インサイト」を打ち上げる計画を発表しました。
「インサイト」は2016年3月に打ち上げられ、約6ヶ月の航行の後に火星に着陸し、地殻やマントル、核といった構造を持ちながら地球とは違った環境をもつ火星の形成過程を約2年間にわたって調査することになります。
「インサイト」は、キュリオシティーを開発した NASAのジェット推進研究所(JPL)で4億2,500万ドルをかけて開発されたロボット探査機。「モグラ(The Mole)」と名付けられたドイツ製のドリルを搭載しています。
「モグラ」は火星の地下5メートルまで穴を掘り、地熱を計測します。また、「インサイト」にはフランス製の地震計も搭載されており、火星において地震(火震?)が発生するかを調べます。
ジェット推進研究所の Gregg Vane氏は、「インサイト により、現時点では謎に包まれている、火星コアの部分も含めた火星深部の構造を知る手掛かりを得ることができる」と語っています。
科学者たちは、火星内部は、地球とは全く異なっていると考えています。例えば、火星には磁場が存在しません。地球は強い磁気に覆われていますが、これは地球内部のコアが自転と熱対流によって回転することで作りだされています。しかし、火星には磁場がないため、コアの部分やそれを取り巻くマントルの様子は、地球とは違うのではないかと考えられています。
インサイトの計測結果により、火星がどのようにして形成されたのか、火星内部でどのような地殻活動が行われているのかを知る手掛かりを得られると科学者たちは期待しています。
火星探査機「キュリオシティ」、無事に火星着陸 [宇宙のロマン]
NSA(米航空宇宙局)は8月6日に火星探査機「キュリオシティ」が火星の地表に無事着陸し、映像の送信を始めたことを発表しました。
「キュリオシティ」の着陸地点は過去に水の痕跡が発見された赤道付近の「ゲール・クレーター」。搭載された10種類のハイテク機器を駆使し、2年間にわたって、火星の土壌や大気を分析して炭素や窒素、酸素などの痕跡を探し、映像やデータを送信します。
「キュリオシティ」は、マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、略称:MSL) と呼ばれる、NASAの火星探査宇宙船で火星に送り込まれた火星地表探査機の愛称です。ちなみに、この「キュリオシティ (Curiosity=好奇心)」という愛称は全米の学生・子どもたちからの愛称応募によって決定したもので、カンサス州の12歳の少女の提案によるものだそうです。
超巨大天体望遠鏡の時代 [宇宙のロマン]
宇宙モノのニュースにはいつもワクワクするLobyですが、
その宇宙の謎・神秘を観測するのに欠かせないのが天体望遠鏡です。
そこで今回は、この天体望遠鏡に関するニュースを紹介します。
新X線望遠鏡 「NuSTAR」
6月13日、米航空宇宙局(NASA)は、ブラックホール発見のためにオービタル・サイエンス(Orbital Sciences)社によって開発された「NuSTAR」(Nuclear Spectroscopic Telescope Array=核分光望遠鏡アレイ)」を打ち上げました。
宇宙論について考える-宇宙に終焉はあるのか? (2) [宇宙のロマン]
ルネッサンス期の天文学
さて、前回は”暗黒時代”と称されたヨーロッパの中世時代に大きな飛躍を遂げたイスラーム天文学(実際には数学、天文学、医学、論理学、哲学など様々など学問全般において空前の飛躍が見られた)について見ました。
このように、イスラーム科学は9世紀から16世紀にかけて旺盛を極め、世界の科学さえもリードしたのですが、12世紀ころになると、イスラームで発展した最先端の知識のアラビア語文献がラテン語に翻訳される形で中世ヨーロッパ世界に大量に持ち込まれるようになりました(この大翻訳運動を12世紀ルネッサンスとも言う)。
デンマークの天文学者、ブラーエがケプラーと共同で観測活動をしたウラニボリ天文台
(右下は現存するウラボニ天文台の写真)
このヨーロッパの、天文学をふくむ、科学のルネッサンス運動の火付け役となったのが十字軍でした。
十字軍のイスラーム遠征は、当時世界最先端のイスラーム科学をヨーロッパへもたらすという重要な役割を果たしたのです。
アラビア文化圏の進んだ知識が導入されるにしたがって、イスラーム世界に継承されていた古代ギリシャの知識もふたたびヨーロッパで見直されるようになり、アリストテレスの学問もアラビア語からラテン語へ翻訳され広く知られるようになります。そしてヨーロッパではルネッサンスの大興隆が起こり、再びヨーロッパは天文学の中心となっていきます。
ルネッサンスとは、周知のように「再生」を意味し、”古代(ギリシア)文化、芸術への回帰”を目指す運動です。ルネッサンスは14世紀に北イタリアではじまり、またたく間にヨーロッパ中に広がりました。ギリシア時代に提唱されていた地動説や大地球体説が再提唱されて議論されるようになり、また17世紀初頭には望遠鏡が発明され、天体観測も飛躍的に向上します。 このヨーロッパ文明の黎明とも言える時期には傑出した天文学者や物理学者が多く現れました。
宇宙論について考える-宇宙に終焉はあるのか? (1) [宇宙のロマン]
膨張し続ける宇宙ー 宇宙に終焉はあるのか
今回は、人類誕生以来の哲学的、物理学的、天文学的テーマに挑むことにしました。
タイトルは『宇宙論について考える』。
サブタイトルは『宇宙に終焉はあるのか?』です。
(少々大げさなタイトルですね...)
科学や物理・天文学に少々関心のある方なら、2011年にもっとも話題になったのは、私たちの太陽系がある天の川銀河や下の写真のUFO型銀河を始めとする無数に近い銀河が属する宇宙について、2011年の11月にサウル・パールマター(Saul Perlmutter)、ブライアン・シュミット(Brian P. Schmidt)、そしてアダム・リース(Adam G. Riess)の3博士が、””宇宙の膨張は加速し続けている”ということを科学的に実証し、その功績に対してノーベル宇宙物理学賞を授賞されたことではないでしょうか。
地球から1600万光年の距離にあるUFO型のNGC2683銀座(Credit: ESA/Hubble & Nasa)
1788年に発見されたNGC 2683銀座は、側面を観測できる「エッジオン銀河」であり、天の川銀河に似た構造を持っている。ハッブル宇宙望遠鏡は、コアの明るい光を受けた腕部分の微細構造をとらえている。
すばる望遠鏡、もっとも古い銀河団を発見 [宇宙のロマン]
海外のメデイアは、日本の天文学チームが、今月24日、すばる望遠鏡(ハワイ島)で、これまで観測された中でもっとも遠い127億光年の距離にある銀河団を発見したと報じています。(注:天文学チームは総合研究大学院大学の大学院生、利川潤さんと国立天文台の柏川伸成准教授たち)
同チームは、すばる望遠鏡で観測した約127億光年離れた30個ほどの銀河が密集している銀河団の分布を調査し、このうちの15個の銀河の距離を詳しく測ったところ、8個が127億2千万光年離れていることを確認しました。
すばる望遠鏡 credit:すばる望遠鏡公式サイト
これまで最も遠かった銀河団の距離は、同じくすばる望遠鏡で見つけた126億5千万光年でした。
今回発見された銀河団は、かみのけ座の方向にあり、127億光年という距離は、約137億年前と推測されている宇宙の誕生(これも仮説ですが)から僅か10億年後に誕生した銀河の集団ということになり、今後、宇宙の構造が形成される過程の謎を解く手がかりになるとと期待されているそうです。
ちなみに、米国のハッブル宇宙望遠鏡は、地球から131億光年の距離に銀河の候補を検出したと発表していますが、正確な距離が確認されてなかった、と調査チームは述べています。
生命存在の可能性のある系外惑星発見される! [宇宙のロマン]
NASA(米国航空宇宙局)は今月5日、2009年3月に打ち上げた系外惑星探査衛星「ケプラー」が、ハビタブルゾーンにある系外惑星ケプラー(Kepler)22bを発見したと発表しました。
系外惑星探査衛星ケプラー打ち上げの瞬間(Credit:NASA)
ケプラー探査機は、惑星が公転する恒星を横切る際、恒星が暗く見える現象を検出(トランジット法)することにより、地球に似た惑星を探してきました。恒星との距離が近すぎると温度が高くなり、水が蒸発してしまうため生命の存在は期待できないとされいるため、恒星から近すぎず遠すぎず、水と生命が存在できる範囲を「ハビタブルゾーン」と呼び、惑星がこの圏内に位置するかどうかを基準に観測を進めている。これまでに観測された惑星の候補は計2326個に上っています。
ケプラー22bの想像図 (Credit:NASA)
今回発見されたケプラー22bは、地球の2.4倍の大きさを持ち、地球からは587光年の距離のところにあるG型恒星ケプラーの周囲を289.9日かけて回っていおり、主星から0.85AU(1億3千万Km)程度の距離を周回していて、これは太陽系に当てはめてみると、金星(0.72AU)と地球(1.00AU)のほぼ中間に相当します。
主星ケプラー22が生み出すエネルギーは太陽と比較して25%ほど小さいので、距離の近さとエネルギーの小ささが合わさり、その表面温度は、液体の水が存在するのに適度な範囲に収まっていると想像されています。また、科学者たちの見積も りでは、大気が乏しい場合で約マイナス11℃、地球のように大気による温室効果が存在していれば、平均気温は約22℃に達するとしているそうです。
このように、ケプラー22bの表面温度は普通の生命体が生存するのに適した温度であり、液体の形での水の存在も予想されていることから、今回の発見は地球外生命を探し続けている科学者たちにとってビッグニュースであると言えるでしょう。 ただし、ケプラー22bの密度は、もし地球に近い密度であるすると、その質量は地球の約13.8倍、表面重力は約2.4倍となるそうなので、もし、ケプラー22bに進化した大型生物が存在するとすれば、大きな引力から体を支えるため、頑丈な骨格をもつ生物であるかも知れません。
ケプラー探査機の観測チームは今年2月、ハビタブルゾーンにあるとみられる惑星の候補が54個見つかったと発表しており、このうち初めて確認されたのがケプラー22bです。候補惑星のうち48個については、今後続けて観測が行われる予定です。 今回の発見の詳細はAstrophysical Journal(天体物理学専門誌)最新号に発表されます。なお、地上から観測しやすい位置に来る来年の夏には、ケプラー22bの組成を調べるため天体望遠鏡を使って質量の計測が試みられる予定です。
参考:NASAニュースページ(英文)
ALMA電波望遠鏡
太陽系がどうやってできたのか、その太陽系がある銀河系がどうやってできてきたのか、そして我々の素となる生命の材料はどこからやってきたのか…
ケプラー探査機の調査と並行する形で、宇宙における生命存在の調査に威力を発揮することになる、と大いに期待されているのがアルマ望遠鏡です。アルマはALMAとローマ字で綴るので、最初はスペイン語やポルトガル語のalma=魂・心・精神 から取られた名前かと思いましたが、そうではなく、Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉)の頭文字から来たものでした。
ALMAの 直径12メートルの電波望遠鏡群(Credit:Wikipedia)
ALMA望遠鏡は、日本、台湾、米国、チリ、それにヨーロッパの国際共同プロジェクトであり、アンデス山脈中の標高約5000mのアタカマ高地に、高精度パラボラアンテナを計66台設置し、それら全体をひとつの電波望遠鏡として観測するもので、2002年から建設開始、2012年に完成予定となっています(一部は2011年9月より初期観測開始)。
これらのアンテナを移動して、それらの間隔を最大18.5キロメートルまで広げると、直径18.5キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能(=視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡となります(観測に用いる波長帯は1cm(31.3GHz)から0.3mm(950GHz)。
アルマ電波望遠鏡は、電波天文学分野における国際共同利用施設であり、観測テーマに応じた研究計画によって天体観測研究が行える施設なのでその完成が期待されています。
アタカマ高地に設置されつつあるパラボラアンテナ群(Credit:Wikipedia)
VLAや野辺山ミリ波干渉計がレールを敷設しその上を移動する台車でアンテナを運搬するのに対し、ALMAの場合は道路の上をゴムタイヤを履いた台車が移動することでアンテナを運搬する(Credit:Wikipedia)
宇宙空間にある塵やガスは極低温であり(摂氏マイナス260度にも達する)、光や近赤外線を放射しないため、通常の光学宇宙望遠鏡で観測することはできませんが、塵やガスはミリ波やサブミリ波を放射するため、電波望遠鏡で観測することができます。今までは、技術的な困難と空気中の水蒸気の影響などを受けるため、サブミリ波での本格的な観測は進んでいませんでしたが、海抜5000メートルという高所にあるアタカマ高地ではその問題がないため、サブミリ波電波による観測が可能となります。
アルマ望遠鏡が完成し観測が始まると、宇宙ができて間もない頃の生まれたての銀河や、星の誕生や太陽系のような惑星系の誕生、有機分子などの生命に関連した物質など、可視光では見えない暗黒の宇宙が見えてきます。
大きな地図で見る
参考サイト: ALMA Observatory公式サイト
ケプラー探査機の今後の活躍と、2012年からのALMA電波望遠鏡の運用開始によって、今後もさらにハビタブルゾーンに存在する地球型惑星が発見されるとともに、宇宙には生命の元(素)がどこからやって来たのかなども解明される可能性が高くなります。
地球生命の素は、宇宙から隕石によって運ばれてきたアミノ酸だという説もある
地球型系外惑星は、そのほとんどが数百光年という遠距離に発見されているため、もし、生命が生まれ進化できる条件を持つ惑星が発見されたとしても、人類の移住などはできませんし、もし、それらの地球型系外惑星に地球人のような知的生命がいたとしても、通信はおろか、交流もできないでしょう。
それでも、地球は宇宙で唯一、生命(知的生命を含む)が住む惑星でないことは今後の観測結果および宇宙観測技術の発達によって明らかになることだとLobyは思います。
2つの太陽をもつ惑星発見-Star Warsの世界にそっくり? [宇宙のロマン]
「スターウォーズ」の世界に出てくる2連星をもつ惑星が発見されて話題となっています。
NASA(米航空宇宙局)とSETI(地球外生命探査チーム)は、白鳥座の方向にあり地球から200光年離れたところにあるケプラー16が2連星であることを発見しました。 NASAが2009年3月に打ち上げた系外惑星探査衛星「ケプラー」は、惑星が恒星の手前に来ることで起きるわずかな減光を検出する手法(トランジット法)で惑星の存在を検知します。
ケプラー16も、この方法で惑星が発見された恒星の1つで、SETIのローレンス・ドイル(Laurance Doyle)氏たちのチームが、惑星が手前に来るタイミング以外でも減光が起きていることに気づき、この星がお互いの周りを回る連星であることが判明、その報告が米科学誌サイエンスに発表されました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/T. Pyle
連星の周りを回る「周連星惑星」の存在は、理論的には何十年も前から予測されていましたが、確実に発見されたのは今回が初めてだそうです。 天の川銀河に存在する恒星の多くは連星系を成していると考えられていますが、ケプラー16bのような周連星惑星が発見されたことにより、単独星だけでなく連星の周りにも系外惑星があることが今回の発見で確かめらたため、系外惑星の数量は予想以上に増えることになりそうです。
ケプラー16は、連星同士、そして中心星と系外惑星の両方が、地球から見て重なるような軌道をもつという、観測する側(ケプラー宇宙望遠鏡)にとってはたいへん好都合なケースであり、今までに様々なデータが観測されています。
ケプラー16の中心星は、それぞれ太陽の0.7倍と0.2倍程度の質量しかない小さな太陽で、お互いの周りを41日周期で回っています。
さらにその周りを229日の周期で回る惑星ケプラー16bは、ガスと岩石が半々の土星サイズの惑星であり、中心星からの距離は太陽から地球までの距離の0.7倍程度、ちょうど太陽から金星くらいの距離ですが、中心星が太陽より小さいため生命が存在するには低温すぎると思われています。なので、タトゥーイン星に出てくるサンドピープルやジャワズは住んでいそうにありませんね。(スターウォーズに関心のある方は、Lobyの「スターウォーズの世界」をご覧になってください♪)
今回の観測結果発表について、「スター・ウォーズ」を製作したルーカスフィルムのジョン・クノール(John Knoll)氏は、「科学的発見は時として想像を超えるものです。こうした発見が、これから様々な作品にインスピレーションを与え、想像以上の世界に思いをいたす可能性を広げてくれます」とコメントしているそうです。ちなみに、2012年6月にはアマチュア天文家にもケプラー16が観測できるようになるとか。
ただし、SETIのローレンス・ドイル氏は、ケプラー16bの大きさと太陽(ケプラー16)からの距離から判断して、この惑星に地球型の生命が存在する可能性は小さいとみられています。2つの太陽を持つ惑星は、今後1~2ヶ月の期間内にほかにも見つかる予想だそうです。
(1)さまざまなスペクトル型の星について、ハビタブルゾーン内に地球型惑星やより大きな惑星がどれくらい存在するのか探査する。
(2)太陽系外惑星の軌道の大きさや形を決定する。
(3)連星系に惑星がどれくらいあるのかを推定する。
(3)公転周期の短い巨大惑星(ホットジュピター)について、その軌道、光度、惑星の大きさ、質量、密度に関する知見を得る。
(4)既に惑星が発見されている恒星について、さらなる惑星の発見を行う。
(5)惑星系を持つ恒星の性質について研究を行う。
現在の技術では、ケプラーは地球型惑星を発見する可能性が最も高いミッションである。ケプラーは10万個の星を一度に観測することができるため、惑星による食を検出できる可能性もその分大きい。さらに、1/210の確率で地球型惑星の食を観測できるということは、すべての星が地球型惑星を持っていると仮定した場合、ケプラーは480個の地球型惑星を発見できる計算になる。これと実際に検出される地球型惑星の数を比較することで、地球型惑星が存在する確率を推定することができる。ケプラーによって得られるデータは、さまざまな種類の変光星の研究、特に日震学を多数の恒星に適用するためにも有用である。(以上、NASAケプラーミッションのウェブサイトからの引用)
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