生命存在の可能性のある系外惑星発見される! [宇宙のロマン]

 

 NASA(米国航空宇宙局)は今月5日、2009年3月に打ち上げた系外惑星探査衛星「ケプラー」が、ハビタブルゾーンにある系外惑星ケプラー(Kepler)22bを発見したと発表しました。

 

 系外惑星探査衛星ケプラー打ち上げの瞬間(Credit:NASA)kepler1200_946-710.jpg

 
ケプラー探査機(Credit:NASA)
keptele2.jpg

 

 

  ケプラー探査機は、惑星が公転する恒星を横切る際、恒星が暗く見える現象を検出(トランジット法)することにより、地球に似た惑星を探してきました。恒星との距離が近すぎると温度が高くなり、水が蒸発してしまうため生命の存在は期待できないとされいるため、恒星から近すぎず遠すぎず、水と生命が存在できる範囲を「ハビタブルゾーン」と呼び、惑星がこの圏内に位置するかどうかを基準に観測を進めている。これまでに観測された惑星の候補は計2326個に上っています。

 

           ケプラー22bの想像図 (Credit:NASA)Kepler22bArtwork_946-710.jpg

 

今回発見されたケプラー22bは、地球の2.4倍の大きさを持ち、地球からは587光年の距離のところにあるG型恒星ケプラーの周囲を289.9日かけて回っていおり、主星から0.85AU(1億3千万Km)程度の距離を周回していて、これは太陽系に当てはめてみると、金星(0.72AU)と地球(1.00AU)のほぼ中間に相当します。

主星ケプラー22が生み出すエネルギーは太陽と比較して25%ほど小さいので、距離の近さとエネルギーの小ささが合わさり、その表面温度は、液体の水が存在するのに適度な範囲に収まっていると想像されています。また、科学者たちの見積も りでは、大気が乏しい場合で約マイナス11℃、地球のように大気による温室効果が存在していれば、平均気温は約22℃に達するとしているそうです。

 

 ケプラー22bと太陽系惑星の比較 (Credit:NASA)
Kepler22bDiagram_946-710.jpg

 

 このように、ケプラー22bの表面温度は普通の生命体が生存するのに適した温度であり、液体の形での水の存在も予想されていることから、今回の発見は地球外生命を探し続けている科学者たちにとってビッグニュースであると言えるでしょう。 ただし、ケプラー22bの密度は、もし地球に近い密度であるすると、その質量は地球の約13.8倍、表面重力は約2.4倍となるそうなので、もし、ケプラー22bに進化した大型生物が存在するとすれば、大きな引力から体を支えるため、頑丈な骨格をもつ生物であるかも知れません。

ケプラー探査機の観測チームは今年2月、ハビタブルゾーンにあるとみられる惑星の候補が54個見つかったと発表しており、このうち初めて確認されたのがケプラー22bです。候補惑星のうち48個については、今後続けて観測が行われる予定です。 今回の発見の詳細はAstrophysical Journal(天体物理学専門誌)最新号に発表されます。なお、地上から観測しやすい位置に来る来年の夏には、ケプラー22bの組成を調べるため天体望遠鏡を使って質量の計測が試みられる予定です。

参考:NASAニュースページ(英文)

 ケプラー探査機関連動画


 

ALMA電波望遠鏡

太陽系がどうやってできたのか、その太陽系がある銀河系がどうやってできてきたのか、そして我々の素となる生命の材料はどこからやってきたのか…

ケプラー探査機の調査と並行する形で、宇宙における生命存在の調査に威力を発揮することになる、と大いに期待されているのがアルマ望遠鏡です。アルマはALMAとローマ字で綴るので、最初はスペイン語やポルトガル語のalma=魂・心・精神 から取られた名前かと思いましたが、そうではなく、Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉)の頭文字から来たものでした。

 

ALMAの 直径12メートルの電波望遠鏡群(Credit:Wikipedia)alma-2.jpg


 

ALMA望遠鏡は、日本、台湾、米国、チリ、それにヨーロッパの国際共同プロジェクトであり、アンデス山脈中の標高約5000mのアタカマ高地に、高精度パラボラアンテナを計66台設置し、それら全体をひとつの電波望遠鏡として観測するもので、2002年から建設開始、2012年に完成予定となっています(一部は2011年9月より初期観測開始)。

これらのアンテナを移動して、それらの間隔を最大18.5キロメートルまで広げると、直径18.5キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能(=視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡となります(観測に用いる波長帯は1cm(31.3GHz)から0.3mm(950GHz)。

アルマ電波望遠鏡は、電波天文学分野における国際共同利用施設であり、観測テーマに応じた研究計画によって天体観測研究が行える施設なのでその完成が期待されています。

 

   アタカマ高地に設置されつつあるパラボラアンテナ群(Credit:Wikipedia) ALMA-antennas-interferometry.jpg


 

VLAや野辺山ミリ波干渉計がレールを敷設しその上を移動する台車でアンテナを運搬するのに対し、ALMAの場合は道路の上をゴムタイヤを履いた台車が移動することでアンテナを運搬する(Credit:Wikipedia)

Alma_antenna_in_transit.jpg

 

 

  宇宙空間にある塵やガスは極低温であり(摂氏マイナス260度にも達する)、光や近赤外線を放射しないため、通常の光学宇宙望遠鏡で観測することはできませんが、塵やガスはミリ波やサブミリ波を放射するため、電波望遠鏡で観測することができます。今までは、技術的な困難と空気中の水蒸気の影響などを受けるため、サブミリ波での本格的な観測は進んでいませんでしたが、海抜5000メートルという高所にあるアタカマ高地ではその問題がないため、サブミリ波電波による観測が可能となります。

アルマ望遠鏡が完成し観測が始まると、宇宙ができて間もない頃の生まれたての銀河や、星の誕生や太陽系のような惑星系の誕生、有機分子などの生命に関連した物質など、可視光では見えない暗黒の宇宙が見えてきます。

 

ALMA電波観測所の位置(チリ、アタカマ高地)地図を拡大すると電波望遠鏡群が見えます
大きな地図で見る

 
ALMA電波観測所の動画


参考サイト: ALMA Observatory公式サイト

       アルマ望遠鏡(日本語サイト)

 

 ケプラー探査機の今後の活躍と、2012年からのALMA電波望遠鏡の運用開始によって、今後もさらにハビタブルゾーンに存在する地球型惑星が発見されるとともに、宇宙には生命の元(素)がどこからやって来たのかなども解明される可能性が高くなります。

 

地球生命の素は、宇宙から隕石によって運ばれてきたアミノ酸だという説もあるamiacido.jpe

 

bombardment_440.jpg

 

地球型系外惑星は、そのほとんどが数百光年という遠距離に発見されているため、もし、生命が生まれ進化できる条件を持つ惑星が発見されたとしても、人類の移住などはできませんし、もし、それらの地球型系外惑星に地球人のような知的生命がいたとしても、通信はおろか、交流もできないでしょう。

それでも、地球は宇宙で唯一、生命(知的生命を含む)が住む惑星でないことは今後の観測結果および宇宙観測技術の発達によって明らかになることだとLobyは思います。

 


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コメント 3

駅員3

I feel magnificent romance !!
by 駅員3 (2011-12-18 11:34) 

perseus

こんばんは。
私もYahooニュースで記事を見ました。
こういった発見が進んでいくと、どんどんロマンが広がりますよね。
例え行くことや、交信することができなくても^^
でも、きっといつかはやってのけるのかも知れないですね。
そう思いたいものです♪
by perseus (2011-12-28 20:49) 

Loby-M

>駅員3さん、ご訪問&コメントありがとうございます。

>perseusさん、こんばんは。
 そうですね。ロマンを持つということは、人生を豊かにするのではないでしょうか。そして、いつの日か、宇宙人と平和に交流出来る日が来ること願っています。

>akaharaさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>fantaさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>pukuchinさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>isoshijimiさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>rtfkさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>konnさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>あんぱんち〜さん、ご訪問&nice、有難うございます。

>*ピカチュウ*さん、ご訪問&nice、有難うございます。

>xml_xslさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>song4uさん、ご訪問&nice、有難うございます。

>千波矢さん、ご訪問&nice、有難うございます。


by Loby-M (2012-01-08 07:40) 

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